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Sunday, July 25, 2021

ボーイング機をレストランに変えたパレスチナの双子の兄弟:時事ドットコム - 時事通信

2021年07月26日12時00分

ボーイング機をレストランに変えたパレスチナの双子の兄弟

【バダンAFP=時事】イスラエルの占領下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸で、退役したボーイング707型機が新しい出発を待っている。パレスチナ人企業家の手によって、レストランとして生まれ変わったのだ。(写真はレストランとして開業予定のボーイング機。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のナブルスで)
 60歳の双子の兄弟、アタ・サイラフィさんとカミス・サイラフィさんが近く開業する飛行機レストランは、ナブルス市郊外の孤立した山岳地帯にある。
 古い旅客機の客室は、座席と窓ガラスが取り外され、テーブルが据え付けられる。壁から天井は白く塗装され、床にはウッド風のフロア材が敷かれている。
 店は「パレスチナ・ヨルダン航空レストランと喫茶室サイラフィ・ナブルス」と名付け、パレスチナとヨルダンの旗を飾る予定だ。
 水たばこを吸う客のためにパイプを用意し、いずれはイベントスペースとして貸し出しもするとカミスさんは言う。「コックピットは、ここで結婚式を挙げようとする新婚カップルにお似合いの場所ですね」
 20年ほど前、金属スクラップ業者だった2人は、イスラエル北部のキリヤトシュモナ近辺に放置されている1980年代製の旅客機の話を聞きつけた。
 1999年、イスラエル人オーナーからこの旅客機を10万ドル(約1100万円)で購入したが、エンジンは取り外されていた。
 イスラエルは1967年以降、ヨルダン領だった東エルサレムを併合し、パレスチナ自治区を占領している。当時も今も、パレスチナには空港がないため、住民はヨルダンまで行かねば空の旅はできない。
 サイラフィ兄弟は、購入したジェット機をヨルダン川西岸へ運ぶため、イスラエルの会社に2万ドル(約220万円)を払った。

■「奇抜なアイデア」
 13時間かかった移動では、イスラエルとパレスチナ両サイドが連携した。機体の両翼を一時的に切り離し、巨大なレッカー車でけん引するために主要道路は閉鎖された。
 「たくさんの報道機関に取材されました。イスラエルの警察が移送を取り仕切りました」とアタさん。「飛ぶための装備が一切ない旅客機がやって来ました」
 サイラフィ兄弟は2000年前後から飛行機レストランを始めるつもりだった。しかし同年、パレスチナで第2次インティファーダ(反イスラエル闘争)が起こり、開業は頓挫した。
 「2年前にプロジェクトを復活させようと思ったが、今度は新型コロナウイルスの流行で実現できなかった」とカミスさんは述べた。
 長く延期されたプロジェクトがようやく復活するに当たり、イスラエル中部のベングリオン国際空港から、使われなくなった古いタラップを買った。ヘブライ語と英語で書かれた空港名は、今でも鮮やかに残っている。
 だが、解決すべき問題がもう一つある。飛行機レストランに隣接するごみ処分場を移転するよう、地元当局に働き掛けているところだ。
 25年近い待機の後、2人のプロジェクトはようやく飛び立つ。「パレスチナ自治区で航空機を持つなんて、とても奇抜なアイデアでしょう」とカミスさん。「だからこそ、このプロジェクトは成功するはずです」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕

この記事の英文はこちら【英文時事コム】

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