金沢市片町2丁目の「A RESTAURANT(ア・レストラン)」が能登半島地震で被災した飲食店主に、店を貸し出す準備を進めている。金沢で数日でも数カ月でも営業してもらい、収益を得る機会を提供するとともに、事業継続への意欲を高めてもらう。同店の総料理長、髙木慎一朗さん(「日本料理銭屋」主人)は「お客さんと再会し『またやるよ』と宣言できる場を提供したい」と話し、希望店を募っている。
奥能登では建物の倒壊に加え、大半のエリアで断水が続き、営業休止を余儀なくされている店が多い。髙木総料理長は「飲食店主にとって長期休業で心配なのは、常連客と疎遠になること。従業員も離れてしまう」と能登の同業者を心配する。
計画では、飲食のほか、旅館、漆器店などの小売業にも利用を呼び掛け、希望に応じて貸出期間を決める。家賃は無料で、食材・光熱費など経費は負担してもらう。
既に利用を検討している人もいる。輪島塗を企画販売する高洲堂(輪島市)は地震で倉庫と事務所が倒壊した。主人の大向正浩さんのもとには全国から応援の販売企画が持ち込まれるが、対応できない。片町の店で器を使用してもらうことで「今は動けなくても、これから再起を目指すというファイティングポーズを示したい」と期待を寄せる。
ア・レストランを経営するオープンソース社は店舗運営のほか、食文化の研究開発事業も手がけており、もともと2月以降は研究のため、予約を入れていなかったという。このため貸し出しが可能となった。髙木総料理長とともに準備を進める今英之料理長は「私たち料理人は能登の食材にお世話になっている。金沢と能登でシェフの交流にもつなげたい」と話した。
同店は27日午後6時から、市内20店のメニューがそろう復興支援イベントを行う。料金は初回チャージ料で3千円。収益はすべて被災地に寄付する。
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