広尾駅から徒歩5分、路地の角にともる明かり
東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩約5分。小さな民家も立ち並ぶ広尾商店街から1本入った路地の角に、柔らかい明かりがともる1軒のレストランがあります。
【画像】「地域と人をつなぐ」コミュニティー型レストランって、どんなところ?
店の名前は「カフェ ド マイ(cafe.de.mai)」(渋谷区広尾)。シェフ歴30年の田中舞さんが5年間ひとりで切り盛りしてきた同店は2020年2月3日(月)、共同オーナー制の「創作料理店 ケース(CASE)」としてリニューアルオープンを迎えます。一度は閉店の危機に見舞われた同店。その再出発を支えたのは、地域住民から寄せられる温かい愛情と、約40人の新しいオーナーたちでした。
たったひとりで店を経営し続けていく難しさ
もとはチュロス(洋菓子)ショップだった物件を、田中さんが居抜きで借りてレストランとしてオープンさせたのは2014年12月。数席が並ぶカウンターと、そのすぐ対面に田中さんの調理スペースがある小さな間口のお店です。
予約制の「シェフおまかせコース」を楽しむカップルや女性客がいる一方、近所の常連がちょっと1杯ワインをつまみで引っかけていく、気さくで温かみのあるレストランでした。
順調にファンを増やす一方で田中さんの悩みのタネとなったのは、たったひとりでお店を続けていくことの難しさ。お客さんに提供する料理作り、ケータリングの大口注文、食材の調達、経営管理……。お店2階の小部屋に寝泊まりするほど、多忙を極めたといいます。すべてをこなし持続させていく困難に直面し、お店を続けるかどうか、迷うようになったといいます。
「実はお店を閉めようかと思っているんだけど、食材用の冷蔵庫、要らなくなるから使う?」
2019年10月、田中さんがメッセージを送った相手は、古くからの友人である起業家の近藤威志(たけし)さんでした。「お店やめちゃうの? その前に今度食べに行くよ」。近藤さんが旧友の店を久々に訪ねたのは翌11月のこと。そこで初めて、田中さんが長らく抱えてきた悩みを耳にすることになります。
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