兵庫県西宮市で地中海料理のレストランを経営するロシア出身の男性が、ウクライナ侵攻で激戦地となった東部マリウポリのジャーナリストを支援する活動で奮闘している。ディミトリ・ファルベロフさん(48)は2月の侵攻開始以降、自身の店舗で5度にわたりチャリティーコンサートを開催し、これまで36万円超を寄付した。ファルベロフさんは「僕には政治は分からない。でも、侵略は決して許されない」と述べて、自身の立場で何ができるかを模索し続けている。
6月19日夕方、西宮市の御前浜公園に近い海辺のレストラン「カサブランカ」では、南アフリカ出身の歌手プリスカ・モロツィさんらによるチャリティーコンサートが開催され、約30人が海辺の景色と食事、音楽を楽しんだ。ファルベロフさんは関西で活動するディスクジョッキー(DJ)としても知られ、自前で機材なども提供。「音楽は国籍に関係なく誰もが理解できる〝言葉〟。音楽を通じて、人と人とを結びあいたい」と語った。
ファルベロフさんは露西部サンクトペテルブルク出身。ソ連崩壊直後の経済混乱のなか、大学生だった1992年にイスラエルに移住した。現地の日本レストランで働いたころ、日本人女性と知り合い結婚。2003年に大阪に移住した。以来関西に住み続け、大阪や兵庫でレストラン経営を手掛けてきた。ファルベロフさんは現在、ロシア、イスラエル双方の国籍を持つ。
新型コロナウイルス禍でレストランの経営が打撃を受け、ようやく回復が見えてきた今年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が発生した。ファルベロフさんは「人間が殺されている事実は恐ろしく、つらい。両国とも国民が被害を受けている。解決に向けて努力しなくてはいけない」と考え、知り合いの歌手やバンドらの手助けを得てチャリティーコンサートを開始した。
ウクライナ人の友人らから支援先の候補を教えてもらい、現在はマリウポリ在住のウクライナ人ジャーナリスト、アルチョム・ポポフ氏に義援金を送っている。マリウポリはアゾフ海に面する要衝で、ロシア軍は侵攻開始当初から激しい攻撃を加えていた。ポポフ氏は記者としての活動のほか、住民のために薬を調達するなど活動も展開しており、「彼ならば、有意義にお金を使ってもらえると思った」と判断した。
ファルベロフさんは関西について「人の温かさを感じられる〝自分の家〟のような場所。ロシアやイスラエルに帰る考えはない。日本にずっといたい」と言い切る。レストラン経営では激務が続くが、関西の地から平和に向けた行動を起こそうと、日々思いをめぐらせている。(黒川信雄)
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