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Monday, September 26, 2022

【週刊わいず倶楽部】 農家レストランへ行こう - 読売新聞オンライン


 地元の旬の野菜や畜産品をおいしく提供する「農家レストラン」。どこか懐かしい里の味や、そこに暮らす人々との触れ合いを気軽に楽しめると人気を集める。日常の煩わしさをしばし忘れ、心と体をほっこりと癒やしに、ふらりと訪ねてみては。魅力あふれる各地の農家レストランを紹介する。

 採れたて野菜の天ぷらや手作りこんにゃく、おからドーナツ――。カウンター上に素朴な家庭料理が30種類以上も並ぶ。ビュッフェスタイルの店内は、熟年グループや家族連れでにぎわう。思い思いに大皿から取り分け、テーブルいっぱいに広げては「しゃきしゃきしてる」「懐かしい味」と顔をほころばせた。

 和歌山県田辺市の「みかん畑」。紀伊山地山麓の自然や景観をいかした、都市と農村の交流施設「秋津野ガルテン」内にある。見渡す山々にはミカン畑が広がり、特産のかんきつ類を使ったメニューも評判だ。

 ミカンの価格は1990年代後半から暴落し、同市も打撃を受けてきた。地域のミカン農家らは当時、お金を出し合って直売所を開設。加工場も建てて、出荷に適さない果実でジュースやジャムを作って売り上げアップを図ってきた。

 交流施設も住民の熱意で生まれた。上秋津小学校の移転に伴う旧校舎の活用策を話し合ううち、地域の女性が中心になって地元農産物をいかした料理を出す「スローフードレストラン」計画が動き出した。

 住民489人が計約4200万円を出資。旧校舎を宿泊施設やミカン加工体験室に改装してレストランを併設し、2008年にオープンした。

 レストランの窓から見える築約70年の木造の旧校舎は、今年2月に国登録有形文化財となった。郷愁を誘う景観の中での食事は格別で、開放感たっぷりの中庭テーブルも利用できる。コロナ禍前は年間5万人が訪れていたという。

 施設の運営会社の木村則夫社長(66)は「田舎のおばあちゃんちに来たような素朴な料理と豊かな自然を楽しんでほしい。ぜひ味わいに来て」と話す。

  アクセス  JR紀伊田辺駅から車で北へ10分。ランチビュッフェ1100円。問い合わせは秋津野ガルテン(0739・35・1199)。

 大切に育てた豚を加工、販売する「手づくりハム・ソーセージ工房 ばあく」(奈良県五條市)が営業するレストランでは、自慢の豚肉と地元野菜を使ったランチが楽しめる。

 工房は1983年、代表の泉澤ちゑ子さん(72)が「子どもたちが安心して食べられる食材を提供したい」と考え、賛同した地域の主婦らが出資して設立された。

 レストランは2008年から。泉澤さんの夫と長男が営む農園の豚舎から良質の豚肉を提供してもらい、調理担当の長女・土居朋子さん(45)がソテーやミートローフなどに腕を振るう。一家が近くの畑で栽培したナスやキャベツ、ブロッコリーなどが皿を彩る。

 人気の秘密は、大麦、小麦、コメを配合した飼料で育てた豚肉で、泉澤さんは「かむほどに味が出て、脂身が特に甘くておいしい」と胸を張る。

  アクセス  JR五条駅前から車で約15分。たっぷりポークランチ1550円など。問い合わせは、ばあく(0747・25・0701)。

 大阪府能勢町平野の道の駅「能勢(くりの郷)」内にある「ひだまり」は、毎日町内から届く地元食材にこだわる。都心近くで豊かな自然の恵みを味わえると評判で、1日300食以上出ることもある。

 丼や麺類などの定番のほか、定食類も人気。定食に添えられる総菜は季節の食材にこだわり、秋ならナスやシシトウ、栗など、その日の入荷を見てメニューを決める。みそや漬物は自家製。肉や卵も地域の業者から仕入れ、ドレッシングも手作りだそうだ。

 2000年の開店当初から調理を担当する本田千栄子さん(79)は「大阪でも、新鮮な採れたての味を楽しめるんですよ」と声を弾ませる。隣接の観光物産センターには地元農産物や加工品、能勢の栗を使った焼酎も並び、年間20万人以上が訪れるという。

  アクセス  能勢電鉄山下駅から阪急バス平野口で下車。能勢の四季弁当900円など。問い合わせは道の駅能勢(072・731・2626)。

 読売新聞大阪本社は、農業や食に関わる人々を応援し、持続可能な未来を考える「農プロジェクト」に取り組んでいます。

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