コロナ禍によって需要が高まるフードデリバリー業界において、デリバリーに特化したゴーストレストランの次世代型フランチャイズを展開する株式会社デリハック。2020年から事業を開始し、急成長を遂げている株式会社デリハック代表取締役の山本祐輔氏に話を伺い、創業までの経緯やM&Aについての考え方、今後の展開について語ってもらった。
<経歴>
山本祐輔氏
大学卒業後、広告代理店勤務を経てフリーランスに。2020年に株式会社デリハックとしてゴーストレストラン事業を開始。現在まで60業態600メニューを展開するまでに成長させている。
ゴーストレストランの需要を見抜き、黒字化できるサービスに
―まず、株式会社デリハックという会社を創業するまでの経緯を教えてください。
山本:私の経歴からお話しすると、大学卒業後に広告代理店に入社したんです。ただ、もともと3年以内に起業したいという思いもありました。実際には、入社した年の12月に退職したので、3年の予定が9ヵ月とだいぶ短くなってしまいましたが。
―退職されて、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。
山本:退職後は友人と一緒に起業して、オーセンティックバーのサブスクサービスを始めました。ただ、うまくいかなくて辞めてしまい、フリーランスとして活動していて、ウーバーイーツの配達員もやっていたんです。並行してウェブ関連の仕事も受けていました。ウェブのライティングやディレクションまで幅広くやっていたんですが、安定して稼げるようになってきたので、ウーバーイーツの配達員は2018年で辞めてしまったんです。2019年からはずっとウェブの仕事ばかりでしたね。2020年からは会社としてできることをやりたいと思い、合同会社を設立して、最初はウォーターサーバーの代理店をやっていました。
―ゴーストレストランのサービスを始めたのもその頃だったのでしょうか。
山本:そうですね。まずは他社のプラットフォームを使ってゴーストレストランのサービスを始めたんです。あまり詳しくなかったので、先行者のやっていることを教えてもらったほうがうまくいくんじゃないかと。
―ゴーストレストランはこれまでの経歴と違う分野ですが、ゴーストレストランをやろうと思った理由を教えてください。
山本:自分でもできて儲かると思ったからですね。始めようと思ったきっかけとしては、友人が経営していたということがひとつあります。もうひとつは、ウーバーイーツの配達員時代に、ゴーストレストランにピックアップに行くことがあって、その店の方にいろいろ話を聞いていたからですね。そういったこともあって、これは自分でもできるんじゃないかと。
―コロナ禍でこのサービスが伸びるだろうという考えもあったのでしょうか。
山本:というよりも、もともとやりたかったんです。始めたらたまたまコロナ禍になったというほうが正しいですね。ただ、そのときにやっていたゴーストレストランはあまり儲かりませんでした。そこからどうすれば黒字にできるかを考えて、家賃を安く抑えたり、ブランドを多くしてみたりしたんです。結果、黒字にできたんですが、その頃に父の知り合いが新橋でバーをやっていて、デリバリーのやり方を教えてほしいという話がありました。それが今から考えればフランチャイズだったんだと思いますが、そこで店舗の売上を増やすことができたときに、他にも同じような需要があるんじゃないかと思ったんですよ。実際、調べてみたらゴーストレストランのサービスがいくつかあって、同じことを考えている人たちがいるんだなと。
サービスのパッケージ化、サポート、スピード感が差別化要因
―そこから株式会社デリハックという会社に変えて、事業を1本に絞ったのですね。そこで事業を1本化することに不安はなかったのでしょうか。
山本:事業として数字が伸びていたので大丈夫だろうと思っていました。フードデリバリー業界はまだ成熟していなかったんです。フードデリバリーの会社といってすぐ思いつく会社もなく、当時はゴーストレストランが何なのかわかっていない人も多かったですから。
―現在取り扱っているブランドはどれくらいになるのでしょうか。
山本:現在は60業態600メニューです。基本的には私1人で考えているんですが、飲食店とのコラボレーションも進めています。例えば、原宿のケバブ屋さんとコラボして全国で販売する取り組みを進めていて、言ってみれば食のプラットフォームですね。デリハックというプラットフォームを使っていろいろ売ることができるんじゃないかと思っています。例えば、コンビニやスーパーのプライベートブランドも、そのコンビニの商品として扱っていますが、製造しているのは別のメーカーなんですよね。それをコンビニがプラットフォームとして売っているという仕組みで、ゴーストレストランと同じだと思ったんです。
―同じような事業をやっている企業と比べた強みとしては、どんなところにあるとお考えですか?
山本:1つの店に5ブランドくらい入れられるということでしょうか。1つのブランドだけで戦うのはなかなか難しいんですが、5ブランド入れられればそれだけ売上も上がります。質も大切にしつつブランドの数を増やせるのが特徴で、1つの店舗に5ブランド入れることで、例えばウーバーイーツ上では5店舗分になるんですよ。それをパッケージにしてスーパーバイザーがしっかりサポートできることも他社との差別化だと思います。加えて、考えたことをすぐ実行できるスピード感も強みといえるかもしれません。
―多くのブランドを抱えながらも原価が抑えられているそうですが、仕入れを共通にして原価を抑えられるようなこともしているのでしょうか?
山本:そうですね。そういったことも行っています。また、他社でも多くのブランドを出しているところはあるのですが、弊社では売れなかったからすぐやめるということもありません。例えば、東京で売れないものが地方で売れるといったこともあるので、エリアによって展開を変えてみるといったことも行っています。
―現在の事業はコロナ禍に対応できている事業だと思いますが、コロナが収束してきたあとはどのように展開していくお考えですか?
山本:実店舗とデリバリーの専門店をやりたいと思っています。今までは実店舗の売上が厳しくなってきたので、デリバリーで稼ごうという形が多くありました。そうではなく、店舗設計として最初からデリバリーの売上も見込んだ形にするということです。また、コロナ禍が終わったとしても、デリバリー需要は減らないと考えています。コロナ禍は需要喚起になっただけで、デリバリー業界はずっと伸びてきているんです。コロナ前からオフィスでの需要は増えていて、当時と今の違いはオフィスだけでなく一般家庭からの需要もあるということですね。
属人化せずにプラットフォームをしっかり運営することが大切
―飲食業界での事業拡大の方法としてのM&Aという選択肢については、どのようなお考えをお持ちですか?
山本:飲食のM&Aでいうと、おいしいものを提供できるのは大前提として、集客が大切なので、そこにIT企業が参入したらおもしろいのではないでしょうか。古き良き飲食店もいいんですが、それだけでやっていける時代ではないのではないかと。なので、実店舗とデリバリーの組み合わせを実験的にやってみるのも、私たちの使命なのかなと考えていますね。
―今後M&Aを行うようなお考えもあるのでしょうか?
山本:この事業の展開として、売却するという選択肢もあるとは考えています。ただ、やはり事業として楽しいと感じることが多くありますし、事業は伸ばしていきたいと思いますね。資金調達をして拡大していくよりも、大きい会社の事業としてやったほうが、事業をより早く拡大できるのではという考えもあります。飲食業界でシナジーのある会社はたくさんあると思いますよ。
―デリバリーのプラットフォームという事業としては、実店舗を多く展開していくよりも、売却しやすいというのはあるのでしょうか。
山本:そうですね。事業譲渡するためには、実店舗があると店舗の賃貸契約や従業員などの手続きも大変ですが、プラットフォームなので売却しやすいというのはあります。そのためにも、属人化せずにプラットフォームをしっかり運営することが大切だと考えています。ただ、私としては当たり前のことを当たり前にやって、伸ばせることを伸ばしただけで、難しいことをしているつもりはないですね。
―最後に、今後の夢や目標などがありましたら教えてください。
山本:個人の夢としては、シリコンバレーに行きたいですね。会社を辞めて起業したときに失敗していますが、憧れとしてはシリコンバレーのスタートアップをこの目で見てみたいなと。もし起業するなら日本よりスピードの速い海外ですね。今のところやりたい事業は特にないですが、エンタメ系の領域も考えてみたいと思っています。お金に換えられない価値がありますし、何かエンタメを絡めてやってみたいですね。
株式会社デリハックについて
株式会社デリハックは、既存店舗を活用したり、飲食未経験でも開業できたりするなど、急成長の次世代型フランチャイズビジネスを展開。加盟店は700店舗を突破している。株式会社デリハックHP:https://delihack.jp/
からの記事と詳細 ( 60業態600メニュー、加盟店700店舗を展開!ゴーストレストランのプラットフォームを整えて急成長 飲食M&A by 飲食店ドットコム - Foodist Media )
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