新型コロナウイルス対策として3月下旬からバンコクを中心に飲食店の店内営業が禁じられたタイで、日本食レストランが苦境に立たされている。数万人の日本人が暮らすタイにはもともと日本食の店が多かったが、ここ数年は日本食ブームで人気がさらに上向いていたところだった。
【写真】日本料理店が立ち並ぶバンコクの「タニヤ通り」。ほとんどが店を閉め、閑散としている=2020年4月21日、染田屋竜太撮影
4月21日の午後7時ごろ、日本食レストランなどが軒を連ねるバンコクの歓楽街「タニヤ通り」はひっそりとしていた。配達のバイクが行き交うばかりで、人はほとんどいない。
「デリバリーを始めたが、売り上げは普段の2~3割。この状態が数カ月続いたら閉店も考えないと」。バンコクで10年以上、日本食の居酒屋を切り盛りする男性(53)は語る。
バンコク首都圏では3月22日から持ち帰りやデリバリーを除く飲食店の営業が禁止され、レストランが次々と店を閉めた。
日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所によると、日本食レストランは2019年までの3年間で34%増加し、タイ全土で計3637店。20年も増えると見込まれていた。同事務所の農林水産・食品部長、福田かおる氏は「飲食店への打撃は大きい。需要が高まっていた日本からの和牛や鮮魚の輸入にも影響がありそうだ」と話す。
朝日新聞社
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