日本三名園の一つである偕楽園(水戸市)周辺の魅力向上のため、県は偕楽園公園内に飲食や迎賓機能を備えたレストランやテラスガーデンを新設する。偕楽園周辺に飲食店が少ないことや県産品のPR不足などの課題解消に期待がかかる。早ければ来年八月末にもオープン予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況次第では、変更の可能性もある。(松村真一郎)
県は、偕楽園や千波湖周辺の魅力向上を図ろうと、総合リゾート運営会社「星野リゾート」に委託して、昨年十月に「偕楽園・歴史館エリア観光魅力向上構想」をまとめた。構想を踏まえ、有識者による検討会が今年五月、「偕楽園魅力向上アクションプラン」を作成。集客拠点の誘致などが盛り込まれた。
アクションプランを受けて、五月から集客拠点の設置などを担う事業者を公募した。二社が応募し、外部有識者を含めた選定委員会による審査の結果、全国で結婚式場や飲食店を運営する「アイ・ケイ・ケイ」(佐賀県)を代表とする共同事業体に決めた。
新施設は、鉄筋二階建てで、偕楽園公園内の月池東側の約一ヘクタールに整備する。敷地内には、四十台分の駐車場も新設。「偕楽園の新しい魅力と交流・感動の場の創造」をコンセプトに、偕楽園の歴史や文化的価値を踏まえた施設として、周辺の回遊性の向上を図るとしている。
月池を眺めながら食事を楽しめるレストランやカフェのほか、結婚式場や迎賓館としても利用できる。レストランでは、県銘柄牛「常陸牛」やメロンなど、県の特産品を使った料理を提供し、県産品のPRにもつなげる。事業は、都市公園に民間が施設を造り、その利益を公園管理に生かす国の「パークPFI制度」を県内で初めて活用する。
県は、来夏までに感染拡大が収束し、観光需要が高まった段階で新施設をオープンすることで、観光の起爆剤にしたい考えだ。そのため、感染拡大の状況やワクチン開発などの社会情勢次第では、来年一月に予定している着工時期を遅らせ、それに伴ってオープン時期も後ろ倒しになる可能性があるという。
県観光物産課の担当者は「一般の観光客に利用してもらうだけでなく、全国知事会のような公式の場でも、県の顔として活用され、魅力度向上に貢献する施設になってほしい」と話している。
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