現在放送中の連続テレビ小説『おかえりモネ』で多くの視聴者を虜にしているキャラクターがいる。坂口健太郎演じる菅波だ。菅波は、サヤカ(夏木マリ)が開設した診療所の医師として、第1週から登場。百音(清原果耶)とは決して“素敵な出会い”とは言えない形だったが、真っ直ぐで純粋で、どこか影を持った百音と菅波は次第に距離を近づけていく。百音の気象予報士試験の先生として、そして心を支える存在として。百音が東京に場所を移し、離れ離れになるかと思いきや、“1300万分の2の奇跡”で2人は再会。2人の関係がどうなるのか、視聴者をドキドキさせている。朝ドラ2作目となる坂口は菅波をどんな思いで演じているのか。
「安達さんならではの“スパイス”がある」
ーー『おかえりモネ』は、何気ないセリフ、登場人物のひとりひとりが、作品のテーマにも繋がっていく、安達奈緒子さんの脚本が素晴らしい作品になっていると感じます。安達さんの脚本はどんなところに魅力を感じますか。
坂口健太郎(以下、坂口):毎回台本が届くのを本当に楽しみにしています。すごく軽い感想になってしまうのですが、読み物としてもとてもおもしろい。演じる立場としては、菅波や百音の動きについて、「こんな感情になるんだ」「こういう反応するんだ」と考えながら読むのですが、必ずそこに安達さんならではの“スパイス”があるんですね。このシーンでもうひとつ“味”が欲しいなと思ったところに、しっかり加えていただいているというか。わかりやすい劇的な瞬間がたくさんあるわけではないかもしれませんが、噛みしめることによって奥深い味が出てくる、そんな台本です。なので、どう咀嚼するかというのが、演出部、俳優部の仕事だなと。撮影前からそれがうまくいったらとても素敵な作品になるなと感じていました。
ーー影像として完成した作品を観たときは?
坂口:第1話からとても美しいなと感じましたし、想像以上でした。新しい朝ドラが始まったなと。現在進行系でコロナ禍で大変な状況ですが、こんな時期だからこそ、本作が朝ドラとして放送される意義はすごくあるなと感じています。そして、百音を演じる清原果耶ちゃんの透明感、清らかさがとてもマッチしていると改めて思いました。安達さんの脚本の素晴らしさをそのままに、登米や気仙沼の美しい風景を生かしながら、映像として昇華できていると思います。
ーー坂口さんが演じる菅波は、素敵な人間ですが、ひとクセある人物でもあります。
坂口:第1週~第3週の台本だけを読んでいたときは、「この男はなんなんだ?」と思うところもありました(笑)。百音と出会ったことにより、菅波はある種の“人間性”を獲得していきます。少しずつ変化していく人物を、1日15分という作品の中で見せなければいけません。極端な演技をしてしまうと急にキャラクターが変わったように見えてしまうので、その塩梅は監督とも相談しながら調整してきました。理屈っぽくて口が悪いところもあれば、テンションの高い部分もあって、可愛げがあるところもあり、過去に傷を抱えてもいる。演じる立場としては、いろんな一面を見せることができる役柄であり、非常にやりがいがあります。
ーーヒロイン百音を演じる清原果耶さんとの2人だけのシーンが非常に多いです。清原さんの印象は?
坂口:果耶ちゃんは、演じる役がどういう人生を歩んできたのか、何を考えているのかを、とても真剣に向き合う役者さんです。果耶ちゃん自身が百音に見える瞬間もあるし、百音を通して果耶ちゃんの人物像が見えるときもある。役とのリンクがなければ、そういった瞬間は生まれないので、改めて本当にぴったりだったなと思います。役者として別人になる以上、演じる感情やセリフにどうしても違和感が生まれるときはあるのですが、彼女にはそれがない。果耶ちゃんは百音という人間の整理の付け方がとてもうまく、自分の中にキャラクターを落とし込んでいることがよくわかります。
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