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Friday, September 11, 2020

「障害ある子に働く場を」 母親らレストラン創業 中国に残る偏見を払しょく、夢はチェーン展開 - 東京新聞

バイキング方式の店内で料理を追加する宋富麗さん(左)

バイキング方式の店内で料理を追加する宋富麗さん(左)

 中国山東省済南市のレストラン「華美百味」では、自閉症やダウン症などの障害者やその父母らが働く。障害者の就業機会が乏しい中国では珍しい存在だ。「チェーン展開して多くの障害者が働ける場所をつくりたい」。知的障害の娘(18)を持つ創業者、呂新景さん(48)の夢は大きい。(済南市で、中沢穣、写真も)

 北京から高速鉄道で2時間、済南市中心部の駅からさらに車に1時間半以上揺られて同市郊外の店へ。日曜の昼すぎに訪れると、バイキング方式の店内は家族連れでにぎわっていた。

 大人20元(約300円)、子ども10元を先払いし、食器を受け取る方式。自閉症という男性が皿とわんをそろえて渡してくれた。カウンターに並ぶ70種類の料理はすぐに足りなくなり、2階の調理室から宋富麗さん(22)が大皿料理を次々に運ぶ。知的障害があり、昨年から働く。「ここで働くのは楽しい」とはにかむ。月給は1500元だ。

 店は2017年12月に開いた。同年の夏に呂さんの娘、英書さんは特殊学校を卒業した。中国では多くの障害者が義務教育の9年を終えると家に閉じこもり、社会との接点を失う。呂さんは「卒業したらどうなるのか、娘の小学校入学から悩んでいた」と振り返る。その悩みが現実となる中、呂さんら7人の母親は「子どもたちが生きていく道をつくろう」と決めた。

呂新景さん

呂新景さん

 障害者はテーブルの片付けや掃除などをできる範囲でこなす。家族も一緒に働くことにより、障害者を近くで見守りつつ、家族の収入も確保できる。呂さんが目指すのは、そんな店のモデルをつくることだ。

 しかし障害者への偏見は根強い。当初は「なぜこんな人を働かせているのか」と声を荒らげる客もいたという。現在は店の存在が広く知られ、客と障害のある従業員がやりとりする姿も自然になった。呂さんは「子どもたちの変化も大きい。明るくなり、人との交流を怖がらなくなった」と手応えを感じる。

 もちろん苦労も絶えない。100万元に上る開店資金は7人の母親らが貯金をはたき、親戚や友人からかき集め、さらに借金を重ねた。180席の店内に対し、「1日300人が来店しないと利益が出ない」(呂さん)。昨年は目標を達成する日も多かったが、今年はコロナ禍に襲われた。

 2カ月も店を閉め、再開後も客足は完全に戻らない。最近は来客数が平均200人前後といい、借金の完済にはほど遠い。一方で中国全体の経済発展は追い風だ。開店時はゼロだった政府の補助は増え、慈善団体からの寄付も少なくない。

 呂さんは「なんとしても利益を出し、店を継続させたい」と話す。既に出前専用の配達センターと支店も設立した。夢は、100店でチェーン展開し、1000人の障害者が働く場所をつくることだ。障害者は家族の恥―。夢が実現すれば、中国社会に残るこんな偏見も変えられるかもしれない。呂さんは「借金で大変です。でも心は満たされていますよ」と笑った。

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