平成27年に引退した寝台特急「北斗星」の食堂車が、埼玉県川口市でレストランとして活用され、鉄道ファンや地域住民に親しまれている。ただ、雨風にさらされる中で腐食が進み、レストランとして維持するためには多額の修理費が必要になった。運営会社は、インターネットで資金を募る「クラウドファンディング(CF)」を始め、苦境を乗り切ろうとしている。
「北斗星」の食堂車だった車両を活用しているのは、ベーカリーレストランの「グランシャリオ」。運営会社「PYC」が28年に車両を購入して開業した。
エアコンを新しくするなどの改修を行ったほかは、ほぼ当時の内装が維持されており、全国各地から鉄道ファンが訪れる地域のランドマーク的存在だ。
PYCの嶋田悟志社長(50)によると、鉄道車両は動かさない状態が長年続くと劣化が進みやすいという。
当初、経年劣化による修理費はレストランの収益でまかなう予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の余波で売り上げが激減し捻出が困難になった。現在も緊急事態宣言の発令を受けて営業時間を短縮している。
嶋田社長によると、レストランとしての運営を維持するには塗装や窓の交換の費用として約1100万円が必要という。CFサイト「READYFOR」で8月21日に寄付の受け付けを始めたところ、9月3日午前11時時点で198人から約450万円が集まった。10月19日午後11時まで資金を募る予定だ。
嶋田社長は「いけるんじゃないかな」と手応えを語り、「なんとか営業を継続したい」と期待を込めた。(深津響)
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