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Monday, April 17, 2023

こんなオフィスなら出社したい? レストラン・病院・ホテルを併設、郊外のミニタウンのようなオフィスが人気 - Business Insider Japan

オフィスへの出社を義務づける企業も出てきているが、多くの場合、リモートワークの継続を望む社員との間で反発を生んでいる。ザッカー氏のようなオフィスビルのオーナーたちは、出社を強制するようなアプローチではなく、オフィスに出社したくなるような魅力的なアメニティというアプローチに注目している。

「ベル・ワークス・シカゴランドのテナントは、そのうちカジュアルな会議をSwing Looseが提供するバーチャルゴルフ場で行うようになるだろう」と不動産仲介を手がけるガリバルディ・グループ(Garibaldi Group)のバイスプレジデント、タラ・キーティング(Tara Keating)氏は語る。この仕組みは、ベル・ワークス・ニュージャージーにも導入されるという。

ベル・ワークス・ニュージャージーのカフェテリア

ベル・ワークス・ニュージャージーのカフェテリア。

Bell Works

不動産サービス大手JLLの調査によると、このようなアメニティ設備は2025年までにテナント需要を12%上昇させる可能性があり、現在の厳しいオフィスビル市場にとって有意義な改善策となるという。

実際、ウィーワーク(WeWork)が手がけるコミュニティ重視のオフィスなど、アメニティ設備が充実したオフィスはパンデミック以前から人気を集めていた。現在のリモートワークを望む社員と、オフィスへの出社を望む上司の間の争いは、その事実を一層際立たせる。

さまざまなアメニティ設備にビジネス街の魅力、つまり、食事をしたり、買い物をしたり、ショーを観たりできる場所が加われば、メトロバーブのベースができあがる。

「ニューヨークのダウンタウンなら、これらすべてが簡単に手に入れられる」とガリバルディ・グループのジェフ・ガリバルディ(Jeff Garibaldi)社長は述べた。

「ここにはすべて揃っている」

パンデミックが終息しつつあるなか、法律事務所、経営コンサルティング会社、音楽関連会社などがベル・ワークス・ニュージャージーに入居し、空きスペースは埋まりつつある。コワーキングスペース「CoLab」の入居率はほぼ100%だ。

CPグループのBRiCと屋外のパティオ

CPグループのBRiCと屋外のパティオ。

BRIC

オフィスだけでなく、住宅も建設している。ベル・ワークス・ニュージャージーでは、55歳以上向けの185戸のコミュニティを建設した。シカゴでも164戸のタウンハウスを建設している。

CPグループの旧IBMオフィスのリノベーションでは、1250戸の集合住宅とビジネス客向け長期滞在型ホテルの建設を申請中だ。

「これらの施設と4000人収容のホールを計画中のBRiCは、1平方フィート(約0.09平方メートル)あたり35ドルの高値でリースされている。5年以上前には最高で14ドルだった」とCPグループのマネージングパートナー、アンジェロ・ビアンコ(Angelo Bianco)氏は語る。現在の入居率は90%、CPグループがビルを取得したときは60%だったという。

CPグループのマネージングパートナー、アンジェロ・ビアンコ氏

CPグループのマネージングパートナー、アンジェロ・ビアンコ氏。

CP Group

必ずしもテナント企業の社員がメトロバーブに住むとは限らないが、徒歩で通勤したい人にとっては魅力的な場所だろう。

「素晴らしいアメニティが揃っている。だが、究極のアメニティは生活と人だ」

ザッカー氏は、そう語る。

ビアンコ氏も同様の意見だ。テナントが最も重視するのは「時間」というアメニティであり、メトロバーブは都市の利便性とライフスタイルを再現することで、時間の価値を最大限に高めることができると語る。

人と人をつなぐ、リアルな意味でのコミュニティも提供している。BRiCにはテナントが利用できるアートギャラリーが12あり、実際にテナントの作品を展示しているところもある。3Dプリンターやレーザーカッターなどのハイテク機器を備えたラボもあり、テナントはプロトタイプづくりなどに利用できる。

アート作品が展示されているBRiCのオフィスロビー

アート作品が展示されているBRiCのオフィスロビー。

BRiC

人と人の交流を提供しているテナントもある。Canon Solutions Americaは、さまざまな印刷技術を体験できる「カスタマー・イノベーション・センター」をBRiCに開設。同社エグゼクティブ・バイスプレジデントのフランシス・マクマホン(Francis McMahon)氏は、BRiCには小売店の出店計画もあり、スタッフは複合的な環境でより大きな充足感を得ることができると述べる。

バプティスト・ヘルス(Baptist Health)の北部地域担当役員リンカーン・メンデス(Lincoln Mendez)氏は、ボカラトン地域病院(Boca Raton Regional Hospital)のスタッフにとって、敷地内にある託児所は魅力的だと話す。

「スタッフの幸せや経験がときに9時〜5時の勤務時間やオフィスを超えて広がっていると知ると、あらゆることが今どきのワークライフバランスに帰結すると感じる」(マクマホン氏)

大きな変化、大きなコスト

だが、郊外のオフィスワーカーのライフスタイルを変革するという目標は、きわめて高い目標であり、課題も多い。

例えば、オフィスビルの多くは、ホテルや病院、アパートなどの用途に適していない。そのため、認可やゾーニングの変更には数年かかる。ベル・ワークス・ニュージャージーの場合は5年を要した。

Bell Works Chicagolandのオフィス付近のロビー

Bell Works Chicagolandのオフィス付近のロビー。

Bell Works

また、こうした開発にはまだ事例が少ないため、資金調達も難しい。ザッカー氏も、ベル研究所の元科学者で資金力のある人物がこのプロジェクトを知り、支援してくたことでようやく資金調達の目処がついたと振り返る。投資家たちが9000万ドル(約120億円、1ドル=134円換算)を出資してくれるまで、金融機関は動いてくれなかった。

「こうしたプロジェクトは自己完結型のミニシティの構築を掲げているが、施設内のオフィスワーカーの需要に頼ってすべてのビジネスを推進することはできない」と事業用不動産仲介最大手CBREの複合施設部門を率いるトッド・カルーソ(Todd Caruso)氏は指摘し、居住者にとってすべて揃っていて、他の人も訪れたくなるような場所を作ることは、難しいが魅力的な機会と述べた。

「今はまだ、こうした取り組みが実を結ぶための、きわめて初期段階にある」(カルーソ氏)

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