子どもの頃、「家族で外食」は年に一度あるかないかの一大行事だった。大衆食堂が多かったからか、テレビで見た「デパート」は魅惑的だった。屋上に遊具があり、レストランには「お子さまランチ」がある◆そんな憧れの場所が佐賀新聞社に入社してから身近になった。旧社屋の近くに佐賀玉屋があり、たまに南館7階のレストラン街に行った◆そのレストラン街がきょう27日で閉店する。コロナ禍で受けた打撃が大きかったようだ。他にもよく通った飲食店の閉店が続く。今更ながら、コロナ禍が恨めしい◆ところで、お子さまランチといえばディズニーランドの話を思い出す。レストランを訪れた若い夫婦が自分たちの注文とは別にお子さまランチを一つ頼んだ。マニュアルでは9歳未満が対象のメニュ―。スタッフが勇気を出して理由を尋ねると、その日は亡くなった娘の誕生日で、お子さまランチは娘と約束していたメニューだったという。スタッフは夫婦を4人がけのテーブルに案内し直し、子ども用のいすも用意。お子さまランチを運んでくると「家族でゆっくり楽しんで」の言葉を添えた。マニュアルは大切だが、縛られすぎてはいけないという教えに思える◆43年の歴史を持つ玉屋レストラン街の閉店は寂しい限り。さまざまな思い出を振り返る家族も多いだろう。ありがとう。(義)
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