1886年2月、ゴッホは画商として働く弟テオを頼ってパリへ移り住む。最後となる第8回印象派展が開催された年のことだ。すでにモネやルノワールらは参加せず、ジョルジュ・スーラら新印象派と呼ばれる若い画家たちが登場した展覧会だった。
ゴッホは、パリで次第に自らの描き方が時代遅れであることを実感していく。実際に新しい作品を目にし、若い前衛芸術家たちと交流しながら、さまざまな技法を試みていった。
本作品では新印象派の点描技法が採り入れられている。厳密なやり方ではないが、苦心しながらこの技法を試みた様子がうかがえる。壁に掛かるシルクハット、白いテーブルクロスとその上にきちんとセットされたテーブルウエアなどから、ここが中流階級向けのレストランであることがわかる。どのレストランを描いたかは定かではないが、壁にはゴッホの絵画が掛けられていることから、画家と親しい経営者の店であったのかもしれない。(大橋菜都子=東京都美術館学芸員)
※次回は29日掲載。
◆都美術館で開催中
「ゴッホ展」は12月12日まで東京都美術館(東京・上野)で開催中。チケットは日時指定予約制。詳細は「ゴッホ展」で検索。
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