料理メニューにCO2排出量表示を加えると温暖化を防げる?
レストランのメニューに二酸化炭素(CO2)排出量の表示を加えると、来客の注文が環境負荷の少ないメニューに変化することが明らかになった。
ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(ドイツ)のBenedikt Seger氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS Climate」に2022年5月11日掲載された。
同氏は、「レストランのオーナーが既にあるメニューを変更することなく、ソフト戦略によって地球温暖化抑止に貢献することが可能か否かを検討したかった」と研究目的を語っている。
この研究には、ソーシャルメディア(Facebook、Instagram)での募集に応募した265人(平均年齢35.78±12.89歳、女性81%)が参加。価格のみのメニュー、または価格とともにCO2排出量がラベル付けされたメニューを無作為に提示、選択するメニューに差が生じるか否かを検討した。なお、実際の料理は提供しなかった。
用意したメニューは合計9種類のカテゴリーからなり、そのうち6種類はメインディッシュを1つ選び、かつ、サイドメニューを加えることも可能だった。
料理のジャンルは、ハンバーガー、中華、ドネルケバブ(トルコ料理)、インド料理、メキシカン、オリエンタル。他の3種類は単品メニューで、ジャンルはドイツ料理、ギリシャ料理、イタリア料理。
CO2排出量については、低排出量のメニューは緑、中排出量は黄色、高排出量は赤でラベル付けした。例えば、CO2排出量が2~3kgと見積もられるサラダが添えられた牛肉料理は赤、反対にCO2排出量がわずか130g程度と見込まれるビーガンスパゲッティーディッシュは緑だった。
検討の結果、価格とともにCO2排出量がラベル付けされたメニューが提示された場合、人々の選択するメニューのCO2排出量が310g減少することが明らかになった。また、1皿当たりのCO2排出量が平均200gほど少ないメニューが選択される傾向が認められた。
この結果についてSeger氏は、「実際のレストランでは、視覚や香り、同席する人などの影響を受ける可能性はある。しかし、得られた結果は明快であり、非常に有望」と述べている。
また、「多くの人が、楽しい食事の時間を過ごすときにも、地球温暖化の危機に配慮する意思のあることが示された。これはレストランにとって商機とも言え、メニュー再編の考慮に値することだ」としている。
今回の研究報告に対して、米テキサス大学サウスウェスタン・メディカル・センターのLona Sandon氏は、「このような取り組みは、さまざまな変化をもたらす可能性がある。
一部のレストランにとっては、確かに素晴らしいマーケティングツールになり得る。ただし、レストラン利用客の中には、CO2排出量を参考にする人もいるだろうが、カロリー表示を気にしない人がいるように、全く無視する人もいるだろう」と評している。
またSandon氏は、「メニューごとのCO2排出量をどれだけ正確に見積もれるのかという問題もある」とする。つまり、単に生産に伴うCO2排出だけではなく、流通のための梱包や輸送、保冷、あるいは調理時の加工などの全ての過程で発生するCO2を、メニューごとに把握するのは難しいということだ。
加えて、「レストランメニューの再編のみでなく、廃棄物を減らす努力も必要ではないか」と同氏は指摘。さらに、利用客にも、自動車ではなく徒歩でレストランに行くこと、過剰な注文をしないこと、食べ残しは持ち帰ることなどを呼び掛けている。(HealthDay News 2022年5月12日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.plos.org/climate/article?id=10.1371/journal.pclm.0000028
構成/DIME編集部
からの記事と詳細 ( レストランのメニューにCO2排出量を表示すると環境負荷の少ないメニューを選ぶ傾向、ユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク研究報告| - @DIME )
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