東京五輪の外国人の大会関係者らが、ボランティアの運転する車で大会と無関係なレストランや商業施設へ出掛けていると、ボランティアドライバーを務める女性が本紙に証言した。選手らと外部との接触を遮断する「バブル(泡)方式」を壊す行為だけに、女性は「行きたいと言われたら、どこへでも行かざるを得ないが、ルール違反を手伝いたくはない」と悩む。(奥野斐、梅野光春)
◆ホテルまでの送迎と聞いていたのに…
「エスニック料理のレストランに行って」。7月下旬、女性は大会専用車両に乗り込んだ外国人の関係者2人から店の名刺を渡され、「またか」と思った。行き先は選手村から車で20分超の繁華街。前日までの事前予約ではホテルまでの送迎と聞いていたが、ランチに行くのだという。
選手や関係者の行動規範「プレーブック」では、大会に不可欠な場所に限って行くことが認められている。観光地や外部のレストラン、バーなどに行ったりすることは禁止事項だ。
別の外国人関係者を都心の家電量販店に送り、1時間ほどの買い物後、選手村まで再び車で送り届けたこともある。ルール違反ではないかと、大会組織委員会のスタッフに確認したが「大会関係者の意向に沿ってください」と言われた。
◆組織委から確認や注意なし
女性はボランティアドライバーの仲間から、友人宅やショッピングセンターに大会関係者を送ったとの話も聞いた。私服に着替え、日本人通訳者を伴って出掛けた例もあったという。組織委からは車両の現在地は記録していると説明を受けたが、確認や注意を受けたことはない。「バブルはうそばかり。ルール違反を手伝うためにボランティアになったわけじゃないのに…」とこぼす。
女性は、選手村の裏側の出入り口近くから一般のタクシーで出掛けていく関係者を何度も見ている。「出入りの管理は緩く、どこにでも出かけられるのでは」
◆感染への不安
コロナ対策での不安も大きい。車内は狭い空間だが、女性によると、ドライバーの中には2回目のワクチン接種を受けていない人もいる。「マスクを着け、仕切りはあるものの、行き先や待ち合わせ時間などの確認で至近距離で会話もする。ボランティアから選手や関係者に感染させてしまわないか」と心配する。
外国人関係者がボランティアの送迎で、認められていない場所に出掛けていることなどについて、本紙は3日に組織委にメールで質問したが、4日夕時点で回答は届いていない。
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