10月からU.A.E.(アラブ首長国連邦)で開かれる「2020年ドバイ国際博覧会」(通称:ドバイ万博)に、日本のレストラン事業者としてスシローグローバルホールディングス(以下、スシロー)が参加することが決まった。日本政府が出展する「日本館」のレストランとして、「和」を意識した内装の店舗を設置。来場者に日本の回転寿司を味わってもらうことで、同国内での日本食の普及や同社のグローバル展開の足掛かりにする狙いがある。
ドバイ万博の開催期間は10月20日〜21年4月10日。来場者の見込みは約2500万人。すでに192カ国が参加を表明している。日本政府も、日本の技術や文化を発信する「日本館」の出展準備を進めており、日本食を提供するレストラン事業者を公募していた。
2020年ドバイ国際博覧会陳列区域日本政府代表の中村富安氏によれば、複数の候補社の中から「日本のファンを増やす」「日本食を海外に広めるきっかけにする」といった視点で、スシローを選んだという。「ドバイには何度も足を運んでいるが、最も人気のある日本食がお寿司だ。来館者に楽しんでもらい、日本のファンを増やしたい」(中村氏)
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スシローによれば、万博の店舗ではハラール対応の上で100種類以上のメニューを提供予定。シャリには日本の米と酢を使うが、しょうゆやうなぎのタレなどはアルコールが含まれるものについては、日本と同じものではなく、ハラールフードの中で近いものを使うといった対応を取るという。
万博の店舗は1階建てで、座席数は92席。日本の店舗と同様に、回転用のレーンや注文用のタブレットを設置する他、スタッフもスシローの社員やパート、アルバイトなどから公募し、選抜した人を採用することで、日本と同等のサービスを提供するという。
スシローの水留浩一社長は、「(1970年に出店した)大阪万博の元禄寿司に続き、万博での回転寿司のお披露目は今回で2度目。昔とは提供形態やシステムも変わっているので、ドバイで“今”の回転寿司を表現していきたい」と意気込む。
一方で、水留社長は「基本的には赤字のプロジェクトだと考えている」ともコメントしている。約半年のために店舗を建て、設備を用意し、日本から食材やスタッフを手配するコストを回収するためには、各メニューの値段をそれなりの高値に設定する必要があるが、そうした方針は取らないためだ。
「われわれの価値は、職人がいなくてもおいしいお寿司を食べられること。できるだけカジュアルな価格帯で提供したい。もちろんコストとの兼ね合いはあるが、現地で食べられる寿司よりは安くできればと考えている」(水留社長)
スシローは現在、日本国内に540店舗を展開しているが、韓国や台湾、香港、シンガポールなど国外にも30店舗を構えており、グローバル展開を進めている。万博で「スシロー」の名を広げることで、将来的な海外進出の足掛かりとする考えだ。
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