Pages

Tuesday, June 13, 2023

目標は「閉店」、ウクライナ避難民が働くレストラン『スマチノーゴ』 - au Webポータル

今回は、ロシア軍による軍事侵攻の続くウクライナの戦禍を逃れ、遠く⽇本の地まで避難してきたウクライナの⼥性たちが働く「スマチノーゴ」というレストランをご紹介します。

店の名は「スマチノーゴ=美味しい」

TBS NEWS DIG Powered by JNN

今、ウクライナの成人男性は戒厳令のため出国できないため、日本に避難して来た女性達がこのレストランで働いています。お店は東京都港区、虎ノ門駅から徒歩3分、新橋駅から徒歩7分の西新橋にあります。

近隣県の日本政府の提供施設で暮らす方々がシフト制で働いてレストランの接客や調理をしています。お店の名前の「スマチノーゴ」とは、ウクライナの言葉で“美味しい”という意味。日本人の口に合うようにアレンジされたウクライナ料理を提供してくれます。

とても明るい店内に、スタッフの「いらっしゃいませ」の声が響いて楽しい空間

去年9⽉にこのスマチノーゴをオープンしたのは日本人のTAKANE(タカネ)さんという女性です。はじめに、開店のいきさつや、お店の役割についてお話を聞きました。

『スマチノーゴ』オーナー TAKANEさん
「今回は、実際に避難民が珍しいことですけれど、日本に来ているわけじゃないですか。同じ街に、私と同じような女性が。特に精神的なダメージを受けていると思ったので、何か直接にリアルに接して、何かしてあげられないかなと思って始めました。やっぱりしんどい思いを解放させてあげる場所を作りたいと思ったので、明るくアットホームな感じで皆も働いてもらい、あとお客さんも共有して、ちょっと気持ちが安らげる場所みたいにしたいなというコンセプトで、ざっくばらんに楽しくやりたいと思ってます。全員が避難民ですから、仲間がいて情報共有できているのが楽しく、同僚同士でファミリーな関係を築けているのがやっぱり嬉しいみたいです」

こうして、避難民同志の交流の場にもなっているスマチノーゴ。取材で伺った時は、4人ほどの避難民の方が働いていて、厨房でランチタイムのプレート料理の盛り付けをしたり、ピロシキの生地をこねる調理を担当する人、あとはお客さんに接客して料理の説明をする役割などを分担していきいきと仕事をしていました。

TBS NEWS DIG Powered by JNN

見えてきた避難民の方の本音

実際にスマチノーゴで働くウクライナ避難民のスタッフの方とお話をすることができました。首都キーウから避難して来た、ルバさん。ウクライナで日本語の勉強をしていたそうで、通訳を介さずお話を聞くことができました。ルバさんは子供達と日本に来たということですが、両親や妹とその子どもは今もウクライナにいます。家族とは毎日連絡をとっているそうで、どんなことを話しているのか聞きました。 

――家族とは、日本での生活について話すのでしょうか?

避難民のルバさん
「もちろん知ってる、私がここで仕事していること」

――なんて言っていますか?

避難民のルバさん
「家族は嬉しいと。でも体をいつも気を付けて下さいと言われる。働きすぎ、と。でも大丈夫、大丈夫。全然、なんか苦しいとか厳しいとかあんまりない」

家族はルバさんが仕事を頑張りすぎていないか心配なようですが、ルバさん自身はお店で働くことは苦ではない様子。ただ、話を聞いていくうちに、本音も見えてきました。

避難民のルバさん
「日本は遠い、あと(飛行機の)切符はけっこう高いから、一年以上家族と会えていないから…やっぱり…」

左から2番目がルバさん/中央がTAKANEさん。店内の内装・デザイン・メニュー類などは全てTAKANEさんが手がけています

家族と一年以上会えていないことが辛いと、話して下さいました。ルバさんのお話を聞いて、ここで働くスタッフそれぞれが抱えるこうした厳しい悩みがあるという現実は確かにあるんだと感じました。

『スマチノーゴ』オーナー TAKANEさん
「ウクライナの人たちに、何かしてあげたいと思っても何をすればいいか分からないと思っている方が多い。そういう人たちが避難民と気軽に接することができる空間を作りたかったこともレストランを開店した理由です」

お客さんの感想は

TBS NEWS DIG Powered by JNN

さて、私が今回取材でお店を訪ねたのは、平日のランチタイムの時間帯。まさに避難民のスタッフと交流をしたい人や、ウクライナ料理に興味のあるお客さんも多くいらしていました。そこで二人組のお客さんに料理の感想を聞くことができました。 

男性のお客さん
「私はキーウ風カツレツ丼と、彼女がウクライナ風ロールキャベツですね。もう正直、もう一回来ようかなと思ったくらい美味しかったです。私もちょっとウクライナ行ったことあるんですけれど、日本風にアレンジしているのですごい食べやすくて結構お気に入りになりました」

女性のお客さん
「ロールキャベツとても美味しかったです。私はアルメニア人なんですけれど、けっこうウクライナ料理が好きで、なんかいい感じです」

ロールキャベツの味の感想を聞いたこのアルメニア人の女性ですが、実はアルメニア経由で避難をしたウクライナ人も多かったそうでウクライナ避難民のスタッフとそうした話をして心を寄せ合うことができた、とも話してくださいました。まさに、支援の第一歩がレストランに料理を食べに来てかなった形ですね。

TAKANEさん作成のミニ・ウクライナ講座を読めばスタッフとのコミュニケーションにも

本当の目標は「閉店」

評判のいいお店ですが、オーナーのTAKANEさんはレストランの今後についてこう語ります。

『スマチノーゴ』オーナー TAKANEさん
「戦争が一段落して停戦なり終戦なりになればお店は閉める」

ロシア軍のウクライナ侵攻が終わり、このレストランを開く必要が無くなることが本当の願いだということです。是非、支援のアクションの第一歩としてスマチノーゴに足を運んでみてください。

美味しくいただいた「ピロシキ」。中に詰まったベリーの甘煮がハーブティーにとても合います!

 (担当:TBSラジオ「人権TODAY」担当・TBSラジオキャスター 加藤奈央)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 目標は「閉店」、ウクライナ避難民が働くレストラン『スマチノーゴ』 - au Webポータル )
https://ift.tt/gs19YbG

No comments:

Post a Comment