千葉県は24日、2019年の台風・大雨への県の対応に関する最終報告をまとめた。被害情報の収集や人的支援、救援物資の提供などの面で県と市町村の連携が不十分だったと分析。今後は市町村との日常的な交流や防災面での協力体制を拡充し、連携を密にする方針を示した。近く最終報告を基に地域防災計画を修正し、将来の大規模災害に備える。
24日に県の災害対応を検証する庁内プロジェクトチーム(PT)の会合を開き、最終報告案を了承した。PTから報告書を受け取った森田健作知事は「私自身の行動を含め、県の対応について様々な指摘があった。これらの指摘を踏まえ、防災対策の充実・強化に向けて改善に取り組む」との談話を発表した。
19年の台風15号(房総半島台風)では、県が被害の大きさに気づくのが遅れ、初動対応が後手に回った。被災当日に県が把握した住宅損害被害が190棟だったのに対し、4週間後には3万4165棟に拡大した。最終報告は、18年に大阪府を襲った台風21号でも同様の傾向がみられたことをデータで指摘。過去の災害の教訓が生かされなかったことを改めて浮き彫りにした。
森田知事が被災直後に繰り返し私的に外出したことに関し「公務外で対策本部や公舎を離れるのは適切とはいえない」と指摘。今後は私用車による私的視察を控え、視察は公務として実施する方針を示した。
「(被災当日の)夕方時点では大規模災害が発生しているとの認識を職員相互で共有できなかった」(最終報告)。初動の出遅れを反省し、最終報告は「疑わしいときは行動せよ」「最悪事態を想定して行動せよ」「空振りは許されるが、見逃しは許されない」の3原則を示し、地域防災計画の見直しに反映させる方針を打ち出した。
台風15号の被災直後、市町村は災害対応に忙殺され、県への被害報告どころではなかったケースも多かった。県は市町村からの被害報告が少なかったことから住宅被害を甘く見積もり、被災地への職員派遣など一連の対応が遅れた。県の備蓄物資に関する情報が市町村に共有されず、必要な物資が被災地に届かない事態も相次いだ。
最終報告は県と市町村の連携が不十分との指摘を踏まえて「普段から互いの顔が見える関係づくりに取り組み、連携を強化する」と強調。防災に関する情報や認識を共有するため、互いに接触する機会を積極的に設ける方針を示した。
県は最終報告が指摘した課題や改善策を取り入れ、地域防災計画の修正案を3月中に作成。パブリックコメントを経て、6月末までに第1弾の見直しを終える。
危機管理、「楽観」に警鐘―最悪事態の意識不可欠
2019年9月の台風15号を巡っては、千葉県の初動対応の遅れ、知事の危機意識の甘さなど数々の問題点が浮かび上がった。庁内プロジェクトチームや有識者会議の議論を通じて見えてきたのは楽観主義の「落とし穴」だ。
有識者会議の吉井博明座長(東京経済大学名誉教授)は県が被害状況を見誤った背景として「正常性バイアス」の存在を指摘する。非常時に組織や人間が都合の悪い情報を軽視し、楽観に流される心理を指す。市町村からの被害報告が少なかったのを「報告すべき被害がない」と解釈し、災害対策本部の設置や被災地への職員派遣の遅れ、知事の私的外出につながった。
さらに大きな「楽観」が台風災害への危機意識の薄さだった。東日本大震災の被災経験から、県は主に大規模地震を想定した防災体制に力を入れてきた。県の最終報告は冒頭で「本県が経験した災害とは異なる事象が発生し、想定を超える判断や対応が求められた」と被災直後の戸惑いや混乱ぶりを指摘している。
住民の生命、財産を守るのは行政や政治の最大の責務だ。台風15号など一連の災害は、楽観主義や前例に流されがちな行政の危機管理に警鐘を鳴らした。新型コロナウイルスという想定外で未曽有の非常事態に直面する今こそ、常に最悪を意識した危機管理が求められる。
(下村恭輝)
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March 24, 2020 at 05:48PM
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千葉県 災害対応で最終報告 市町村との連携強化を - 日本経済新聞
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